ゴー宣DOJO

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高森明勅
2013.11.17 10:12

「薄葬」という伝統

10月14日、宮内庁は御陵、ご葬儀などのあり方の変更について、
その概要を発表した。

えっ?!」と思った人もいたのではないか。

普通、本人が生きているのに、どんな葬式を挙げようとか、
お墓はどうしょうとか、おおっぴらに語るなんてあり得ないだろう。

まして、最も尊貴な天皇陛下であれば一層、
慎むべきではないかと、
違和感を覚えた人もあろう。

だが、天皇という地位は、我が国における
究極の「公」の体現者であることを本質とする。

まさに「無私」なるご存在である。

であればこそ、その御陵やご葬儀などについても、
このように早々と公表されることを、
陛下ご自身ご希望になったのであろう。

でなければ、
宮内庁が独自の判断でこのような内容を発表出来るはずがない。

何より、同時に発表された「両陛下のお気持ち」

まとめた文書によって、そのことは明らかだ。

変更のポイントは2点。

(1)御陵については、天皇陵と皇后陵を一体的にご造営。
面積も先帝の場合の8割程度に縮小する。

(2)ご葬送方法については、これまでの土葬から火葬に改める。

これらの背景には、両陛下の次のような「お気持ち」があった。

天皇陛下には、皇室の歴史の中に、御陵の営建や葬儀に関し、
人々に過重な負担を課することを望まないとの考え方が
古くよりあ
ったことにかねてより思いを致しておられ、
これらの御陵やご葬送全体についても、
極力国民生活への影響を少ないものとすることが
望ましいのではな
いか、とのお気持ちであった」

「ご葬法については、天皇、皇后両陛下から、
御陵の簡素化という観点も含め、
火葬によって行うことが望ましいというお気持ちを、
かねてよりいただいていた。
これは、御陵用地の制約の下で、
火葬の場合は御陵の規模や
形式をより弾力的に検討できるというこ
と、
今の社会では、既に火葬が一般化していること、
歴史的にも天皇、皇后の葬送が土葬、火葬のどちらも
行われてきたこと、からのお気持ちである」
宮内庁発表の文書より)

要は、皇室の伝統を受け継ぎ、「品位」を損なうことなく、
極力国民の負担を軽減したいとの思召である。

国民として、まことに恐縮に堪えない。

天皇の葬法は古くはご土葬だった。

しかるに第41代持統天皇の崩御にあたりご火葬が採用される。

以後、ご火葬やご土葬の例
があって必ずしも一定しない。

南北朝が合一した第100代後小松天皇からしばらくご火葬が定着

それが第110代後光明天皇の崩御に際し、ご土葬に変更された。

変更の理由は、宮中出入りの業者だった魚屋八兵衛が、
陛下ご生前の思召も承らないで、玉体を火葬にするのは
畏れ多いとして、
嘆願を繰り返したことによると、伝える。

それ以来、360年ほど土葬が定着してきた。

だがその間、長く受け継がれて来たのは、
先帝が新帝にご自身の御陵やご葬儀などを出来るだけ簡素化するよ
遺言されること。

その遺言を奏上する儀式を「遺詔奏(いじょうのそう)」と称した。

そのご趣旨は勿論、「国人を煩わすことなかれ」(淳和天皇の遺詔)
というにある。

薄葬」を旨とすることこそ、
歴代天皇によって受け継がれて来た皇室の伝統なのである。

であれば、天皇陛下のこの度のご英断は、
まさにその伝統に合致したものと言うべきだ。

なお、今の時点で今回の発表がなされた重大な理由の一つは、
このご変更を確実に実現することにあるだろう。

もし今上陛下崩御の後にこのご変更が公表されたら、

真に陛下の思召によるものなのか、
疑念が生じる恐れが皆無ではない。

の場合、形式の墨守のみを伝統尊重の態度と錯覚している
一部の頑迷な者ら
によって、迷惑な混乱が起こるかも知れない。

そうした事態を避ける為には、
陛下がお元気なうちにご変更を発表し、
それが紛れもなく陛下ご自身の思召であることを
明らかにしておく
必要があったのだろう。

陛下のご生前に、陛下ご自身の思召であり、
皇后陛下、さらに皇太子殿下、
秋篠宮殿下も
ご同意であることが公表されれば、
これに「異論」
を唱えるなどということは、
並外れて愚劣な(
ほとんど狂気に近い)人物でもない限り、
容易くは想像し難いからだ。

これは裏を返せば、
それだけ陛下が今回のご変更の恙無い実現を、
強く望んでおられるということに他なるまい。

締め括りに、宮内庁発表の文書から陛下の「お気持ち」について、
もう一ヵ所だけ引いておく。

「陛下には、これまで長きにわたり従来の皇室のしきたりは
できるだけこれを変
えず、その中で今という時代の要請も入れて
行動することを心がけていら
っしゃり、
御陵およびご葬儀のあり方についても、
そのお気持ちに変わりはない」ー

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テーマ「政治権力と天皇」



平成25年12月1日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。




「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。


毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 
“ こちら ” でどうぞ。




次回の12月1日(日)開催の「ゴー宣道場」のテーマは

『政治権力と天皇』


民主党政権は「1ヶ月ルール」を破ってまでも、
中国の習近平と天皇陛下を無理やり会見させた。


自民党政権はオリンピック招致という「経済政策・アベノミクス第4の矢」のために、
海外の候補地と激しく争う場に、皇族の威光を利用しようと
高円宮妃久子さまを引っ張り出した。


どちらも宮内庁長官は抵抗したが、政治権力に押し切られてしまった。

 

高円宮妃久子さまはIOC総会で圧倒的な存在感を示され、招致成功に繋がったが、
もし失敗していたら、皇室の権威が損なわれる危険もあった。



天皇陛下がこれを危うい「皇室の政治利用」と憂慮されるのは
当然のことだ。

 

風岡宮内庁長官は「苦汁の決断をした。天皇、皇后両陛下もご案じに
なっていらっしゃるのではないか
」と異例の言及をしている。


同時に「内閣の一員としてぎりぎりの判断をした」と説明している。

 

これに菅官房長官が「違和感」を表明。


なんと安倍晋三側近は、天皇のご意向を受けた風岡長官の発言に怒り狂い、
宮内庁をぶっ壊さないとな」「宮内庁は内閣の一部だ
宮内庁長官に任期や定年がないのはおかしい
などと言っている。


政治家どもは、一体、
自分を何様だと思っているのか!?


政治権力と天皇」の関係性を、この際、徹底的に問わねばならない。

 


次回で定期的に開催する「ゴー宣道場」は終わりだ。

来年からは不定期開催になる。


12
1日は堀辺正史師範も参加される。


熱く、深く、日本の根本問題を語ろう!


この恐ろしく深い問題を、どう笑いを交えながら議論できるかが課題だ。


HP上の申し込みフォームからも申し込み可能です絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のHPメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。
当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。



 道場参加申し込みフォーム



引き続き、往復ハガキでの応募も受付けております絵文字:重要絵文字:記念日


入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第39回参加希望』 と明記、

さらに、


1. 
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5. 
職業(学生の方は学校名)
6. 
募集を知った媒体
7. 
応募の理由と道場への期待


返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、


152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。



応募〆切平成25年11/20(水)必着です。


当選された方にのみ
当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
(往復ハガキで応募された方は返信ハガキで、ネットから応募された方は
 当選メールでの通知となります。)

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします



皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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